クロジ 第17回公演 「いと恋めやも」 感想
お久しぶりのブログになります。
8月25日に
クロジさんの「いと恋めやも」のソワレ公演を観劇してきました。
公演から少し時間が経ってしまいましたが、感想です。
クロジさんの公演は今回初めての観劇でした。
☆千秋楽を迎えているとはいえ、公演内容をつらつら語りますので
舞台内容バレは困るという方はここで読むのを控えて頂くことをおすすめします。
さて、感想になります。
いつものごとく、些細なところから。
会場は全労済ホール/スペースゼロという劇場です。
新宿駅南口から歩いて10分もかからないところではありますが、私は道に迷いました。うっかり正反対をあるいており、自分の方向音痴さにあきれました。
何はともあれ、到着して着席。
スペースゼロはいろいろな演劇作品で使われているのですが、案外キャパという点では小さめな印象は受けます。
なので、こぢんまりとしていて、座席も高そうなパイプ椅子のような感じです。
客席は列ごとに段差になっていて、見やすいし、なんとなく客席の前後も広めで開放感がありました。今回の座席は真ん中の列の下手よりでした。以前、スペースゼロで観劇した際は最後列だったのですが、あまり見にくい感じたことはなかったのでどの席でも見やすいのかなと思います。
さて、着席して目に飛び込んできたのは豪華な舞台美術。
満開の桜がしだれているだけでも妖艶なのに、どこかのお屋敷の内装をイメージさせる豪勢な造りはもう始まる前から期待値がグングンあがります。
もう舞台美術の世界観だけでチケットの7000円の価値があるなと感動。
時間は流れて、いよいよ開演。
私がいつも観に行く舞台は比較的女性が多い印象だったのですが、今回は多分男性の方が多いような感じがしました。
内容は
兄と二人で暮らしている畑仕事を生業とする田舎娘の妹つつじ。
今の生活になにも不満のないつつじですが、女としての将来を心配した兄、甚三があの手この手をつかい名家と名高いが、あまり情報の少ない緋桜院家の次男鴇忠とのお見合いを取り付けることに成功しました。
あまり気の乗らないつつじも兄の勢いに押されてお見合いに出席します。
お屋敷は人気の少ないところに建ち、季節外れの桜が咲き乱れる怪しい様につつじはお見合いを断りますが、お見合い相手の母、茜に気に入られ嫁入りする事になります。
夫、鴇忠からは避けられたり、長女雀からは相手にされなかったり、三男長春からは大根とからかわれたり、次女撫子からは悪口を言われたり、緋桜院家になじめない日々を過ごしていくのですが、働き者で、裏表のないまっすぐなつつじの人柄に徐々に周りがつつじを受け入れ初め、鴇忠とも仲良くなっていきます。
ただ、不穏な一言に少しずつ空気が変わりはじめます。
「深夜12時以降は部屋から出ないこと」
母、茜から言われたことばに疑いもなく従って行く日々。
そんな中、長期不在だった長男蘇芳が帰宅。
婚約者と名乗る香と一緒に。
時を同じくして、長女、雀も運命の人に出会ったと愛の喜びに日々胸を躍らせる。
鴇忠とつつじもまたお互いの距離を縮め、夫婦になれるように歩みよっていく。
そんな幸せムードも長くは続かず、ある日雀は運命の人との逢瀬の後、魂の抜けたようにふらふらと屋敷に戻るとその姿は血まみれ。
「食べてしまった」とぼそぼそと話します。
涙を流し、後悔と悲しみに溺れる姿を蘇芳と鴇忠は見逃さない。
雀を慰める母、茜はしきりに仕方ない大丈夫と繰り返し、なにも発さないが蘇芳は天を仰ぎ、鴇忠はゆっくりと頭を抱える。
蘇芳、鴇忠、雀は兄妹で酒を飲み、その穏やかな様子は事の収束の現れかと思いきや、
今度は蘇芳が婚約者である香を食べてしまう。
それも我を忘れて・・・・・・。その光景を目の当たりにしてしまったつつじはパニック。
鴇忠がすかざずフォローにはいりますが、時既に遅し、鴇忠を拒絶するつつじ。
鴇忠は一言「つつじと離縁する」と伝え、つつじは一目散に屋敷を飛び出します。
つつじは実家に戻りますが、ふさぎ込んでしまします。
しかし、それは鴇忠も同じ事で部屋から出てこなくなってしまう。
事実、緋桜院家は人を食べないと生きていけない鬼だったのです。
その事実はつつじを追い詰め、鴇忠も追い詰め、蘇芳を壊します。
また、この事実が公にならず、緋桜院家が存続できていたのは鴇忠の働きが大きかったのです。
人知れず、人を殺めて食卓に出し、人知れずすべてを行う。
その系図が崩壊し、家族もめちゃくちゃ、三男の長治が白昼堂々人を襲い、蘇芳が緋桜院の秘密を世間に暴露し、世間に露呈する事実。世間が許すはずのない非道に立ち上がり、緋桜院家に襲いかかってきます。
つつじはそんな状況下、このままではいけないと自分を奮い立たせ鴇忠と話し合うためにふたたびお屋敷に向かいます。
何度話しかけても出てこない鴇忠に話かけ続け、姿を現した鴇忠はもはや人の形をしておらず、化け物になっています。
お屋敷への襲撃。
お屋敷をなくそうと放たれる火。
窮地の中でつつじと鴇忠はついにわかり合う。
という内容でした。
(ところどころ端折ってますが、こんな感じ)
初めて観劇させて頂いたクロジさん。
全体の感想としては演技力の殴り合いでした。
各々の演技力の高さ故に作り出される登場人物の見えない過去というか、根底にある性格がにじみでていて圧巻でした。
2時間30分が重厚で濃厚でした。
舞台上では描かれていないはずの登場人物の内心が溢れて溢れてすごい。
芝居が細かい。
登場人物の各役者の細かすぎるこだわりが、世界観を緻密に作り上げていたように思います。
妖艶で緻密で、暴力的。
登場人物みんなが違う形の愛をもっていて、それぞれの愛をどう表現しているのかの対比だったり、類似だったりすごく荒唐無稽なものに命をかけて向き合う様が美しい舞台でした。
DVDが出るのであれば今度は落ち着いてゆっくり見たいと思います。
とりあえず、全体の感想はここまでで
完